幸福で包み込む、ある本屋の話



私が仕事場へ行くときに使っている駅は、東京メトロ千代田線と小田急線が交差する〔代々木上原駅〕だ。


maison de fanfareの最寄駅は徒歩4分で行ける小田急線の〔東北沢駅〕だけれど、


ファッションの着こなしが素敵な人が多いことと、


夜まで開いているカフェや内装にこだわった個人経営の飲食店が軒を連ねていて、それを観察して歩くうちに仕事の疲れがふーっと抜けて行くような気がするから。


ぶらぶらと夜の街を観察しながら歩くのが好きだ。


そして、おまけのように歩いた分だけ電車賃も安くなるので大変好都合110.png




代々木上原駅の改札を出て南口1という出口にでる。


目の前には本屋と、喫茶店が仲良く並んでいる。


どちらも長年営業されているようなお店だ。店主さんたちは、お店と一緒に生きてきたような、静かでどっしりとした感じ。



本屋も喫茶店もどちらも、朝早くから開いていて、夜私の仕事が遅くなったなぁ、と思った日も明かりを灯して営業している。



その本屋「幸福書房 南口店」が今月の2月末で閉店されるそうだ。


代々木上原には、ファッション関係者やデザイナーが多く住んでいるからかもしれないが、アートやファッションに関連した本が常に豊富にあり、いつ行っても欲しい本だらけだった。



本を探しに出かけた時大きな大きな書店で、欲しい本が何も見つけられずに辟易してしまうことだってあるのに、このお店は何か違うとお客さんみんなが感じていたと思う。



そして、帰り道にひょいっと寄ると、欲しい本を見つけるまでゆっくり選ばせてくれる。レジに持っていくと、お店のひとが丁寧に一連の動作を行ってくれる。




ここに私は心底驚いた。


接客がとてつもなく心地よいのだ。本屋さんで、こんな接客は初めての体験だった。


マニュアル通りじゃない、大げさな笑顔も大きな声もないし、うまく言えないのだがとにかく謙虚なのだ。




あのお店で本を買ってから、接客たるや...と数日考えたほどだ。




夜遅く帰ってくる都会の人々を優しく包み込む、あれほどお客さん想いのお店は中々ない。




今日の帰りに幸福書房さんに寄って、閉店のことを知ったんだけど、そこでいあわせたお客さんの質問にお店の方はこう言っていた。


お客さん「ここの選書はどうしてるの?」



お店の方「自分たちがいつもここにいることだよ」



それは、本を買いに来たひとが、何を買ってくれたのか、どんな本が好きかをつぶさに観察していたんだよ、という意味だろう。



確かにお店は3人くらいで回していたと思う。


駅の近くだから小学生も帰りに寄ったりしていたようだ。お店の人が知ってる人だと安心して入れるもんね。




お客さんの好みを観察し、それを置くことを続けていた街の本屋さん。


尊敬と感謝とともに、また営業している間にたくさん行こうと思う仕事終わりの夜でした。

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中村泰栄




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by maisondefanfare | 2018-02-04 20:41 | Comments(0)

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